自分の理想の家が建てられる注文住宅。ハウスメーカーや工務店と交わす工事請負契約というのは、金額も大きく、内容も複雑であるにもかかわらず、大抵の方は初めての経験です。一生の中でも特に大きな出費を伴う契約なので、その流れや注意点などは事前に知っておきたいですよね。
ここでは契約時の流れと注意点についてまとめましたので、是非参考にしてみてください。
住宅会社を決定し、家を建てるための契約を結ぶまでには、以下のような流れになります。
仮契約…この段階で一定の手付金を支払います
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設計図面の造成…仮契約後の打ち合わせに基づき、各種図面などを造成してもらいます
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見積書の造成…どのくらいの予算がかかるか、見積もりを出してもらいます
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見積書の検討、再造成…見積書を元に再度打ち合わせをして修正を行います
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本契約…工事請負契約を締結します
住宅会社に仕事をお願いする際、まず交わすのが仮契約です。
この段階では正式に工事をお願いするわけではありませんが、10万円くらいの手付金を払うことになります。
その後、住まい造りに必要な各種図面や仕様書などを作成してもらいます。
更に、そうした仕様を元に見積もりを出し、予算に収まるよう打ち合わせを繰り返してから、本契約に至ります。
この本契約は、業者側で用意する書類によって行われます。
しかしその書類は1つだけでなく、複数あります。それぞれの名前と内容は以下のようなものになります。
・工事請負契約書
発注者や請負者、工期、請負金額、支払方法などを明記する書類です。
・工事請負契約約款
瑕疵の担保や一括委任の禁止など、工事請負契約書では記されていない取り決めが記載されています。
・工事費用内訳明細書(見積書)
工事項目や形状寸法、数量、単価などを記載した見積書です。
・設計図書
住まい造りに必要な図面です。一般的には10枚ほどですが、住まいの規模や業者によって、その数は異なります。
それぞれの書類にきちんと目を通し、打ち合わせの内容と異なる点がないか、不足している点がないかなどを確かめます。そのうえで署名、捺印をして契約を行います。
契約時に覚えておきたいのは、一度契約してしまうと簡単には後戻りできないということです。
そのため、契約を交わすまえにしっかりと書類に目を通し、内容を把握することが重要となります。具体的なポイントとしては、以下のような点をおさえておきましょう。
・物件の表示
売買対象の物件が明示されているかどうか確かめます。
・売買代金と支払方法
金額と支払日を確認します。一般的には一括ではなく、契約時10%・着工時30%・上棟時30%・引渡し時30%というような分割で行われます。
・売買面積
土地面積は登記簿面積か実測面積か確認します。もし登記簿面積で契約し、その後実測を行う場合は、面積に差が生じた場合の措置を明記してあることが重要です。
・登記関連
所有権の移転や引き渡し、登記を行う時期などを確かめます。抵当権がある場合は、所有権の移転登記までに登記抹消されるか確認しましょう。
・瑕疵担保責任
新築住宅を建てる場合は、主要構造部分に関して10年間の保証が義務付けられています。そうした契約後の瑕疵に関する場合の対応を確認しておきましょう。
・契約解除
手付解除や契約違反による解除など、万が一の際の契約解除が発生する条件と方法を確かめましょう。
契約書に書かれていることは言葉も内容も難しく、ついついあまり読まずに捺印してしまいそうになるものです。工期が迫っている場合は、契約を急いでほしいと言われる場合もあるかもしれません。
ですが重要なのはあくまで契約する本人が内容を把握することです。多少時間をかけてもしっかりと内容を確かめ、納得したうえで契約しましょう。
できれば契約当日ではなく、前もって書類をもらい、じっくり読んで内容を確認することをおすすめします。
住まい造りの契約は数百万、数千万円ものお金が動く大きなものです。
少しでも早く理想のマイホームを手に入れたい気持ちがあるとしても、まずは落ち着いて契約内容をチェックしましょう。きちんとした契約を交わすことこそ、本当に理想のマイホームを建てることができる第一歩です。